頭痛headache
頭痛はとても多い症状で、日本人では4000万人、つまり3人に1人が患う病気です。その多くは、稀に生じるだけの比較的軽度な頭痛です。ところが一方で、ひどい頭痛で日常生活に支障をきたすだけでなく、頭痛のため人生まで変わってしまうひともいます。しかし最近の医学の発達により、頭痛の治療は大きく飛躍しました。つらい頭痛に悩んでいる方は、ぜひ当院を受診してみてください。当院では必要と思われる患者さんに対しては、速やかなMRI検査も可能です。日本頭痛学会の認定する頭痛専門医として、頭痛で悩む皆様のできる限りのちからになります。
頭痛を起こす原因はさまざまで、細かく分類するとなんと367種類にもなります。
そんな頭痛は大きく2つのタイプに分けることができます。
- 一次性頭痛:脳や全身に原因となるような疾患がなく、頭痛だけがおこってくるもの
- 二次性頭痛:脳や全身などになにか原因となる疾患があり、それが頭痛を引き起こすもの
一次性頭痛
命にかかわるような重大な脳の疾患ではありません。しかし原因がないため根本的な治療が難しいこと、そのため長期にわたって頭痛に悩むことが多いという問題があります。
一次性頭痛の代表は、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛です。
頭痛の出現の仕方
- 片頭痛
ときどき発作的におこる、日常生活を困難にするような強い頭痛。 - 群発頭痛
1年に1-2回毎年同じ時期に繰り返し出現する、耐えがたい激痛。 - 緊張型頭痛
ひどくはないがだらだらと続く頭痛。動くことができる頭痛。
片頭痛
日常生活に支障をきたす頭痛の中で最も多いのがこの頭痛です。
特徴
- 毎日ではなく時々発作的に現れる
- 頭痛の前に閃輝暗点という前兆がある人もいる
- 頭痛は片側の場合も両側の場合もある
- 頭痛がつらくて動けない
- 頭痛発作のときに光や音、においなどの刺激がつらい
- しばしば嘔気を伴う
- 頭痛発作は3日以内に改善する
またこの頭痛をもつ人は以下のような特徴もあります。
- 血縁者(母や姉など)に似たような頭痛持ちがいる
- 小学校のときに乗り物酔いしやすく、周期性嘔吐と言われたことがある
- 頭痛のはじまりは30歳ぐらいまでのことが多い
- 生理の前などに頭痛発作がでやすい
- ストレスから解放されたとき、週末などに出やすい
- 妊娠中に頭痛は軽くなる
- 高齢になると軽快する
治療
- 頭痛が出現したとき 通常の鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)で効果がないときは、トリプタン製剤(イミグラン®、レルパックス®、ゾーミック®、マクサルト®、アマージ®)が有効です。
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頭痛を予防するために 頭痛体操、ストレスを避けるなどがあります。それでも効果がないときお薬を使います。
- カルシウム遮断薬(ロメリジン)
- 抗てんかん薬(バルプロ酸)
- βブロッカー(プロプラノロール)
- 抗うつ薬(トリプタノール)
最近日本でも認可されたお薬で値段が高いのですが予防効果は強く、日常生活で頭痛のためとても困っている方にはお勧めです。
- エムガルティー®
- アジョビ®
- アイモビーグ®
緊張型頭痛
頭痛のなかで最も多いのがこのタイプです。
特徴
- 頭の両側が痛い
- 締め付けられるように痛い
- 嘔気はなく、動いていたほうがむしろ楽
- 肩や首がこっている
この頭痛は精神的なストレス、偏った姿勢などの身体的な緊張などが原因となっておこります。
ですから予防は、ストレスを避けることと、正しい姿勢でいること、そして身体の緊張をほぐすストレッチや体操を定期的に行うことです。
群発頭痛
この頭痛は若い男性に多い頭痛です。ある時期に集中して耐えられない頭痛が毎日のように群発することからこの名がついています。
特徴
- ある時期に集中して1~2ヵ月間、毎日のように頭痛発作がおきる
- 一回の頭痛発作は3時間以内におさまる
- 発作は片方の眼をえぐられるような激烈な痛み(いつも同じ側)
- 痛いほうの眼が充血して涙や鼻水が出る
- 発作期間中は、お酒を飲むと必ず発作が出る
群発頭痛の治療は、100%酸素吸入が有効です(なぜ有効かはいまだ明らかになっていませんが)。
それ以外は片頭痛の治療と同じように治療します。
薬物乱用頭痛
実は頭痛で悩んでいる多くの方が陥っているのが、このタイプの頭痛です。
頭痛のため鎮痛薬を飲むと効くのですが、鎮痛薬が頻回になってくると鎮痛薬の依存症のようになってしまいます。つまり鎮痛薬を飲んでいないと頭が痛いという状態です。1ヵ月に10日以上鎮痛薬を飲み続けていると、この頭痛になってしまいます。
この頭痛を治す方法は二つあります。
- 鎮痛薬を飲まないこと、飲んだとしても10日以内に我慢する。
- 鎮痛薬を飲む原因となった頭痛(多くは片頭痛)を治療すること。
市販の頭痛薬を毎日のように服用している方は気を付けましょう。
二次性頭痛
原因を取り除けば頭痛が消失する可能性があります。
しかし一方でクモ膜下出血、脳腫瘍などの命に関わる病気の場合もあります。
以下のような頭痛は二次性頭痛で重大な脳疾患がある可能性もありますので是非検査を受けておきましょう。
- 50歳以降に出てきた頭痛
- 突然発症した頭痛
- 増悪傾向の頭痛
なかでも突発し(何時何分に出現した)、いままでに経験したことのない頭痛というのはくも膜下出血など一刻を争うものです。迷わず、いますぐ病院へ行きましょう。